「透き通った琥珀色の、濁りのないコーヒー」にするためには、コーヒーの浸出液に分散しているコーヒー成分の大きさを、できるだけ小さく、そして、できるだけ均一の大きさにする必要があります。ですから、コーヒー豆を焙煎する時には、いつも、その事を頭の中で思い描きながら、焙煎作業を行います。
「粘り気のある寿命の長い(長持ちのする)、クリーミィーな泡(クレマ)」を作るためには、それに合わせてコーヒー豆を焙煎する必要があるのかもしれません。
粘りのある寿命の長い泡は、比較的に大きなコーヒーの成分によって構成されています。そして、その泡がクリーミィーなのは、脂肪が油滴となって泡の中に分散しているからだと推測しています。
この脂肪の油滴も、大きなコーヒーの成分です。クレマを重要視するタイプのエスプレッソ用コーヒー豆を焙煎するときには、その事を頭の中に思い浮かべる必要があるみたいです。
物心ついた頃、すでに実家は喫茶店を営んでいました。ですから、エカワ珈琲店のような昔風のコーヒー屋にとって、コーヒーを淹れるという作業はハンドドリップ以外考えられません。
ハンド・ドリップで淹れるコーヒー浸出液の条件は、「透き通った琥珀色で、濁りが無いこと」ですから、コーヒーの濁りの部分は、コーヒーを淹れるときに発生する泡で取り除きます。
エカワ珈琲店は「煎りたて、新鮮な焙煎コーヒー豆」の販売が信条ですから、それに、ハンドドリップで淹れることを前提に焙煎加工しているので、エカワ珈琲店の焙煎コーヒー豆を使用してエスプレッソコーヒーを淹れたなら、淡白な色のクレマ(泡)がたくさん発生するかもしれません。(中煎かやや深煎りで、新しすぎるので・・・)
都会でエスプレッソコーヒーがブームになっていた頃、 徹底的に細胞組織を破壊した焙煎コーヒー豆を販売したことがあります。でも、そのタイプの焙煎コーヒー豆を買ってくれるお客さんはほんの一握りのお客さんでしたから、採算に合わなかった記憶が残っています。