1989年から2002年にかけて、家庭用コーヒー豆市場は約2倍と、急拡大したわけです。
とくに、その前半部分、1995年頃までは、市場が拡大しているのに、家庭用コーヒー豆市場をターゲットとするコーヒー屋さんが少なかったので、零細生業の自家焙煎コーヒー豆小売店でも、新規開業すれば、すぐに経営を軌道に乗せることができたわけです。
何しろ、新規開業の自家焙煎店が、開店セールを実施すれば、コーヒー豆が飛ぶように売れた時代ですから、それほど苦労することもなく、商売を営むことができたわけです。
バブル経済が崩壊して、失われた10年の時代にあっても、家庭用コーヒー豆市場は拡大を続けていたわけですから、自家焙煎コーヒー豆の小売業界には、脱サラ・転業の新規開業者が殺到しました。
それは、1990年代の末頃からのことです。
2002年以降、家庭用コーヒー豆市場は横ばい状態を続けていて、近年、1億総節約現象の影響からか、市場の需要は少しだけ減少傾向にあるのかもしれません。
インスタントコーヒーから、レギュラーコーヒーに移行していた人たちが、再び、インスタントコーヒーに戻りはじめているのかもしれません。
我がエカワ珈琲店ですが、21世紀に入ってから、毎年のように売上・販売量を減らし続けています。
1990年代には、家庭用コーヒー豆市場の需要だったオフィスコーヒー需要が、2000年前後から業務用コーヒー豆市場の需要に様変わりしてしまったのと、自家焙煎コーヒー豆小売店の新規オープンが相次いで、家庭用コーヒー豆市場の競合が厳しくなったからです。
それなのに、2002年からは、家庭用コーヒー豆市場の成長は止まってしまっていて、横ばい状態で推移していたわけですから、旧態依然たる商売をしていたのでは、売り上げの減少は避けなれなかったのだと、今になれば理解できます。
でも、当時は、何が何やら、全くわからなかったわけで、ただただ、狼狽するだけの日々を過ごしていたわけです。
我がエカワ珈琲店が自家焙煎コーヒー豆の小売業に転業したのは、1989年のことで、その頃、ターゲットとしていた商圏は、和歌山市とその周辺の市町村で、配達主体の商売を営んでいました。
その後、家庭用コーヒー豆の店頭販売が増加したこともあって、対象商圏を縮めることで、10年前には、地域密着の商売に移行していました。
その頃、丁度、家庭用コーヒー豆市場が飽和状態になり始めていたのですから、売り上げ減少、そして、「どん底」となるのは自然の成り行きだったのかもしれません。
と考えていた時期もあったのですが、エカワ珈琲店の停滞・衰退原因は、大手コーヒー企業の同質化戦略に巻き込まれてしまったからなのだと、現在は考えています。
少量生産・少量販売が主体のコーヒー豆自家焙煎店と、大量生産・大量販売が主体の大手コーヒー企業とでは、ビジネスモデルも生産・販売している商品も全く違っているわけですから、アメリカのマイクロロースターのように、その違いを強調する必要があったのだと反省している今日この頃です。