平成3年の『月刊喫茶店経営』に、大手外食企業の喫茶業態進出が特集されています。
当時、ファミリーレストランの商圏は1万人で、喫茶店の商圏は700人だといわれていました。
大手外食企業は、その商圏人口700人で商売が成立する喫茶業態に魅力を感じて、喫茶業態に進出してきたわけです。
しかし、当時、すでに喫茶店は衰退業種でした。
ファミリーレストランやファーストフードなどの大手外食企業の店にお客さんを奪われ、商圏人口700人では商売が成立しない業態になっていました。
喫茶店を出店すれば、誰でも、ある程度の成功を収められる時代では無くなっていました。
『月刊喫茶店経営』の特集記事に名前のあがっていた大手外食企業系の店で、今、和歌山市に存在する店は1店舗もありません。
和歌山市に進出して来た店もあったのですが、いつの間にか撤退してしまいました。
大手外食企業系の店と喫茶店は競合状態にあったのですから、大手外食企業の喫茶業態進出は、上手くいくはずがなかったのだと思います。
その後、スターバックスコーヒーというコーヒー専門店が現れ、あっという間に、日本中を席巻してしまいました。
日本勢では、唯一、ドトールコーヒーが、このスターバックスに何とか対抗しているように見えます。
ドトールコーヒーも、コーヒーの専門店です。
最近では、マクドナルドやモスバーガー、ロッテリアなどのファーストフードの店が、昔の喫茶店の役割を代行していて、店舗をのぞくと、全盛時代の喫茶店の雰囲気を感じることができます。
これは、大手外食企業が喫茶店業態に進出してきたのではなくて、ファーストフードの店舗が、喫茶店需要を取り込んでいるのだと思います。
街中に点在する個人経営の喫茶店は、元気を失っているのですが、老舗の喫茶店の中には、昔の勢いを取り戻しつつある店もあります。
本当の喫茶店商売ですが、独特のノウハウが必要な特別な商売であって、誰もが簡単に始められる商売ではないのだと思います。
昔は、喫茶店の商圏人口は700人ということで、比較的、誰でも簡単に開業できて、失敗の少ない商売でしたが、今では、その数倍の商圏人口が必要な、難しい商売になってしまったみたいです。