かつて、コーヒーは街中の喫茶店で飲むか、その喫茶店から出前してもらう飲み物でした。
コーヒーと消費者が出会う場所ですが、その殆どが喫茶店だったわけです。
その喫茶店ですが、1980年~1985年頃が絶頂期で、その後、店舗数・売上ともに減少を続けていて、街中のいたるところに存在していた喫茶店も、その数を減らし続けています。
何とか残っている喫茶店も、客数・売上は全盛期の何分の一かにまで落ち込んでいる店が大半です。
何故、日本の喫茶店が衰退してしまったのかと考えることがあります。
おそらく、従来型の喫茶店需要が衰退しているのに、日本の喫茶店に新しい市場を開拓する能力が欠けていたからだと解釈しています。
今も昔も、喫茶店の大半が生業の個人店ということで、衰退しているといっても、従来型の喫茶店需要をターゲットに商売を営めば、ある程度の客数と売上を見込めることもあって、新しい市場を追い求める重要性を認識していなかったのだと思います。
1980年以降、コーヒーと消費者の出会える場は拡散を続けています。
ファミリーレストランで、ハンバーガーやドーナツのファーストフードチェーン店で、オフィスでのオフィスコーヒーサービスで、外食店ではランチに付随していて、美容室や理容室・整骨院・自動車の販売店などでサービスに提供されたりと、コーヒーと消費者の接点が爆発的に拡散しているわけです。
そのような状況下で、生業経営の喫茶店は衰退を続けて来て、今も衰退を続けているのですが、それは、生業経営の喫茶店に市場をデザインする能力、新しい市場を探し出す能力が欠けていたからだと、最近、考えるようになっています。
新しい市場は存在していないわけではなくて、すでに何処かで存在していると考えるのが現在のマーケティングの常識です。
コーヒーの喫茶市場でも、ドトールコーヒーやスターバックスのように、新しい市場を探し出して成長を続けている企業もあるわけです。
これも、飲食マーケティングの常識だと思うのですが、個人店や小規模な企業店の市場占有率が50%を割ることなど、喫茶・飲食業界についてはまず有り得ないわけです。
ですから、零細小規模の喫茶店・飲食店の未来は、それほど悲観的なものでは無いのだと考えています。
ということで、零細小規模の喫茶店も、そろそろ、どのようなお客さんをターゲットにして、どのような商品(コーヒー)を、どのようにして販売するのかということを、真剣に考えなければならない時期に来ているのだと思うわけです。
何も考えずに、何も行動を起こさずに、何年も何年も、ただ同じことを繰り返しているだけでは、沈んで行くだけだと思うわけです。