20世紀のコーヒー業界

「純喫茶コロナ」という屋号の喫茶店、それがエカワ珈琲店の始まりです。

創業は、1955年の秋です。

それから60年近く、コーヒーとかかわってきました。

 

小学生でしたが喫茶店の息子ですから、1960年代前半のコーヒー業界のことについて、少しは記憶に残っています。

1960年代の後半以降のコーヒー業界については、興味がありましたから鮮明に覚えています。

 

1960年代は、わずか20数席の喫茶店で、毎日1kg以上のコーヒー豆を消費していた時代です。この時代は、喫茶店が主役で、焙煎屋が脇役の時代でした。

 

1970年代になると、サイフォンでコーヒーを淹れる「コーヒー専門店」のブームが訪れます。

この「コーヒー専門店」ブームによって、街の焙煎屋さんが規模を拡大していきました。

「コーヒー専門店」と言っても、軽食メニューのある店が大半だったと記憶しています。
 

大手、あるいは中堅のロースターに成長した街の焙煎屋さんは、喫茶店の新規開業の一切を取り仕切るようになっていました。

そして、ますます成長を加速させていきました。
 

この「コーヒー専門店」ブームに押されて、従来型の小さな喫茶店は、衰退を開始しました。

その結果が、「純喫茶店」から、「軽食喫茶」への転換です。

 

この「コーヒー専門店」ブームの到来と前後して、焙煎屋(ロースター)から供給されるコーヒー豆ですが、大量生産・大量消費タイプのコーヒー豆に変っていきました。

コーヒー豆の品質で競争するのではなくて、看板・厨房機器などを無料でサービスしたりする付帯サービスの競争や価格競争の時代になって行きました。

 

ちょっと歩けば喫茶店が存在するという環境で、どの喫茶店でコーヒーを飲んでも、同質のコーヒー、同質のサービスという状況になってしまったわけです。

その反動として、昭和の終わり頃から平成の初期、それまでの経営形態に疑問を抱いた一部の喫茶店が、相次いで自家焙煎珈琲店に衣替えしていきました。
 

1970年代・1980年代に隆盛を誇った、あのコーヒー専門店も、今では、昔の面影がありません。

 

1989年、「ユーカス」という全自動の小型電動式焙煎機を購入して、焙煎コーヒー豆の小売販売を始めたところ、エカワ珈琲店のコーヒー豆は美味しい(香りが良い)と言って、多くのお客さんがコーヒー豆を買いに来てくれました。

 

今から考えれば、その当時のエカワ珈琲店のコーヒー豆は、新鮮さだけが取り柄の中途半端な商品でした。

そのようなコーヒー豆を、美味しいと言って買ってくれたのですから、その頃に流通していたコーヒー豆というのは、そうとうに劣悪なコーヒー豆だった可能性があります。