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手前珈琲

『手前味噌』という言葉、最近、あまり聞くこともないのですが、昔は、日常会話によく出てきたものです。

 

インターネット検索で『手前味噌』を調べると、「手前どもの味噌の味は・・・」というふうに、自分の家で作った自家製の味噌を自慢することとあります。
また、自画自賛・自分で自分自身のことをほめるという意味もあるみたいです。

味噌は発酵食品ですから、発酵に関与する微生物が重要な役割を演じています。
で、その微生物ですが、いつも同じような状態で存在することなど稀(まれ)ですから、味噌製造時の環境の違いによって、味噌の風味や品質に「ブレ」が生じることになります。

自家製の『手前味噌』なら、自分たち好みの、できるだけ美味しい味噌を作れればよいわけですから、風味・品質の少しくらいのブレなど、何も問題にはなりません。
だけど、食品スーパーなどに出荷する工業製品(普及品タイプ)の味噌となると、品質のデコボコは許されません。
常に、品質の安定した味噌を供給する必要があるわけで、大量生産・大量消費に適応できる既製品の発酵用微生物を使用することになります。

自分たち好みの美味しさを追求する『手前味噌』と、品質の安定が求められる『普及品タイプの味噌』とでは、『味噌』といっても、全く異なった食品なのだと思います。

『手前味噌』の味噌の部分を『珈琲』と置き換えてみても、同じようなことが言えます。
「手前」とは、「自家製」という意味ですから、『手前珈琲』を『自家焙煎コーヒー豆』と訳して考えてみます。

自家焙煎コーヒー豆店のほとんどは零細な個人店で、自分たちが美味しいと感じるコーヒー豆を焙煎加工することに熱中していて、少しくらいの香味のブレなど気にせずに商売を営んでいます。
そして、「当店のコーヒー豆は・・・」などと、自分で自分の商品を自慢したりしています。

お客さんから、「この前のコーヒー豆は美味しかったのに、今回のコーヒー豆は美味しくなかった」などとクレームを受けたりもするのですが、「自家焙煎コーヒー豆とは、そういう性質のコーヒー豆ですから・・・」と説明したりして、お客さんに納得してもらうわけです。

で、その時、心ひそかに、自分自身の技術の未熟さを恥じたりもするのですが、お客さんには「そういう性質のコーヒー豆ですから・・・」とだけ説明します。
だけど、大量生産・大量消費用の普及品タイプのコーヒー豆のように、一定の品質レベルを維持することなど考えることもなく、自分好みのコーヒーの香味を追求する姿勢は変化することなどありません。

それが、自家焙煎コーヒー豆店の自家焙煎コーヒー豆店たるゆえん何だと、これまた、自画自賛したりするわけです。
ということで、自家焙煎のコーヒー豆と大量生産・大量販売の普及品タイプのコーヒー豆とでは、基本的な部分で考え方が異なっているわけですから、コーヒー豆と言っても、全く違った商品であることは確かだと考えています。

 

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