エカワ珈琲店ですが、自分たちで焙煎加工したコーヒー豆を、『モノ』として販売していました。
「新鮮で香りの良いコーヒー」、「美味しいコーヒー」という機能面を強調して、自分たちで焙煎加工したコーヒー豆を製造直売で小売販売して来たわけです。
大型のコーヒー豆焙煎機を使用して工場で大量生産されているコーヒー豆との違いを強調する販売方法が一番簡単な販売方法で、お客さんに一番アピールできる販売方法だと勝手に思い込んでいたわけです。
でも、考えてみれば、コーヒー豆という商品ですが、お客さんが機能だけを求めているわけではなくて、「エカワ珈琲店のコーヒー豆」という文化的な何かを求めているのだと思います。
お客さんは、エカワ珈琲店のコーヒー豆を買うことで、エカワ珈琲店のコーヒー豆を体験して、エカワ珈琲店のコーヒー豆に文化的な何かを感じてくれて、エカワ珈琲店をご贔屓にしてくれるのだと思います。
ようするに、『エカワ珈琲店コーヒー豆物語』を、お客さんに買ってもらっているわけです。
最近、やっとの事、その事に気がつきました。
10何年か前、インターネット通販がまだ一般化されていなかった時代、エカワ珈琲店は、店頭販売と店舗周辺への配達だけで、結構、繁盛していました。
で、その頃、繁盛している理由を、自分たちが焙煎加工したコーヒー豆が、飛びぬけて美味しいからだと考えていたわけです。
ですから、「エカワ珈琲店コーヒー豆物語」を、お客さんに伝達する努力を怠っていました。
ただ、年に1回から2回、バーゲンセール開催のお知らせということで、ダイレクトメールを顧客名簿に登載させてもらっているお客さんに発送しているだけでした。
10何年か前の、エカワ珈琲店が繁盛していた頃、自分たちが焙煎加工していたコーヒー豆よりも、現在の自分たちが焙煎加工するコーヒー豆の方が、専門的に比較すると、間違いなく、現在のコーヒー豆の方が、数倍優れています。
ですから、10何年か前のレベルのコーヒー豆でも、あれだけ売れたのですから、現在のレベルのコーヒー豆なら、販促なんかしなくても、間違いなく売れるはずだと思い込んでいたわけです。
そして、数年前からは、ほとんどダイレクトメールを発送することもしなくなって、もちろん、バーゲンセール何かも、一度も開催しなくなってしまいました。
普通、お客さんが、エカワ珈琲店のコーヒー豆の機能、「美味しさ」や「新鮮で香りが良い」ということを求めているのなら、エカワ珈琲店のコーヒー豆に『飽きる』ことなど有り得ません。
だけど、実際は、機能では無くて、「エカワ珈琲店コーヒー豆物語」を求めていたのだと思います。
毎年、毎年、店舗と配達での売り上げは、減少を続けてきました。
やはり、「エカワ珈琲店コーヒー豆物語」を維持するためにも、何らかの販促活動が必要だったのではと、反省をしている今日この頃です。