2000年代の初め頃、今となっては笑い話しだと思うのですが、『エスプレッソ用のコーヒー豆』というものが存在していた時期があります。
ある時、エスプレッソ用に焙煎したというコーヒー豆を手に入れました。
エカワ珈琲店には、エスプレッソマシーンがありません。
ですから、ペーパーフィルターを使って、そのコーヒー豆でコーヒーを淹れてみました。
飲んでみると、少し舌がしびれるタイプのコーヒーで、粉ぽさも感じますが、何となく香りや風味も感じることができます。
しかし、いくら香りや風味を感じることができても、粉ぽさを感じるということは、エカワ珈琲店の基準では、焙煎に失敗したコーヒー豆です。
ですから、最初、焙煎に失敗したのだろうと考えていました。
だけど、よくよく考えて見ると、マシーンで抽出するエスプレッソコーヒーの特徴の1つに、クレマと呼ばれている、あの『泡』があります。
あの『泡』を、寿命の長い粘り気のある『泡』にするためには、手に入れたエスプレッソ用コーヒー豆のように焙煎加工をする必要があるのだろうと考え直しました。
でも、日本の水で淹れるエスプレッソコーヒーの場合、それほど濃厚な泡が必要なのだろうかとも考えるわけです。
島国日本の水と、大陸国イタリアの水とでは、当然、その性質が異なります。
水の性質が異なれば、焙煎コーヒー豆も、コーヒーを淹れる方法も、当然、違ってくるはずだと思います。